災害リスクということを今後考える必要性

災害のリスクを持つ地域は日本国土全体の2割
国土交通省の「令和3年度版国土交通白書」によりますと、
洪水・土砂災害・地震・津波という災害のいずれかのリスクを持つ地域面積は
国土の2割に達するそうです
国土交通省は自然災害などが激甚化・頻発化していることを受けて
2020年に防災・減災対策本部を設置し、抜本的かつ総合的な防災・減災対策の検討を進めています
この検討の中で浮き彫りとなった課題は
①気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化の懸念
②災害リスクの高い地域への人口・機能の集中
となりました
増え続ける氾濫危険水域を越える河川の数と土砂災害の数
①の気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化の懸念については、
氾濫危険水位を超過した河川数は増加傾向にあり、
2014年には83であったものが、
2018年には474、
2019年は403
となっています
また、土砂災害の発生も
2018年に過去最多の3459件、
2020年も1319件と多く発生しています
さらに1時間雨量50mm以上の短時間強雨の発生頻度は
1976年からの10年間で平均174回であったものが、
2010年からの10年間では平均251回と約1.4倍に拡大しています
こうした水災害の激甚化・頻発化の背景には、地球温暖化の進行があると考えられており、
水災害に対応する防災・減災対策とともに、防災・減災の観点からも地球温暖化対策が必要とされています
集中しすぎている人口と機能のリスク
②の災害リスクの高い地域への人口・機能の集中では、
洪水・土砂災害・地震・津波のリスクは非常に高いことをを明らかにしました
いずれかの災害リスクがあるエリアの面積は、
国土全体の21.5%と2割を超えています
これらの地域の居住者は8603万人と総人口の67.7%にのぼります
さらに2050年には70.5%まで増加すると予測されています
また、上場企業の本社が東京圏に集中するなど、災害リスクの高い地域への企業活動の過度な集中も継続しています
災害リスクの高い地域に、人口と機能が集中する状態は災害による被害の甚大化に繋がります
白書では災害リスク地域の被害を減少させるための対策が必要と指摘しており、警鐘をならしています
先日のブログでも書きましたが、
国土交通省は長期優良住宅の基準の見直しに着手しており、
その中の項目に災害配慮基準を検討項目に入れています
2021年10月14日ブログ 「長期優良住宅 省エネの上位等級創設の検討開始」
その内訳は
①土砂災害特別警戒区域など自然災害のリスクが特に高い地域については認定を行わない
②災害危険区域のように自然災害のリスクに応じて建築禁止から建築制限まで既成の内容がさまざまである地域については、
特定行政庁の判断で建築制限の内容を認定所外も含めて強化することができるようにする
ということを示しています
災害のリスクを本気で考える時代に
これからマイホームを建てられる方は、
敷地が広い
利便性が良い地域
日当たりが良い
などの検討項目のほかにも、この「災害リスク」というものも
大きな検討小目に入れて考える必要があると思います
起きてからではどうすることもできない自然災害
建てる前からこのことを意識した地域や工法、そして施工する側の知識と技術が
今後ますます求められる時代になることは間違いありません
見た目の美しさにこだわることはもちろん必要ですが、
耐震性能を無視した自由設計や、
エネルギーをダダ漏れさせる非効率な温熱環境
電力の値上げ
雨漏れのリスクを無視した屋根仕舞い
など、意匠にばかりこだわった住まいではなく大切なご家族の命を守るための住まい本来の考え方が必要だと思います
記事を書いたスタッフ
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